毒親育ち、子どもを育てる

毒親の元育った私が子どもを育てた話。解毒に至る過程などもぼちぼち書きます。

母の言う通りに医者に告白したときの話

「あなたのために」は「自分のために」だから無視してもいい。

 

もちろん無視しなくてもいいけど、縛られることは絶対にない。

私は母から30年近く「あなたのために」色々してもらった。

アドバイスも貰った。

母は「あなたのために」と好きでもない年上のサラリーマンと再婚してくれた。

母は「あなたのために」と周りにいる敵について教えてくれた。

母は「あなたのために」と進学先を決めてくれた。

母は「あなたのために」と徒歩7分のバス停まで車で送り迎えしてくれた。

母は「あなたのために」と私の交際相手の人格について解説してくれた。

 

 

一番、想い出深い「あなたのために」はやはり結婚にまつわることだ。

夫と出会う前。

私が26歳のころ、母が突然倒れた。

病院に駆けつけ、母が寝ているベッドの傍で主治医(30代男性)と話していると母が目を覚ました。

ホッと安心したのも束の間。

主治医が病室を出た瞬間 母は言った。

「あの先生と結婚しなさい。」

 

その日から母の「あの先生と結婚しなさい。」攻撃は凄かった。

お見舞いに行く度に

お医者さんと結婚すればどんな未来が待っているのか…細かく教えてくれた。

主治医の名前や年齢、人柄についても細かく教えてくれた。

正直、見た目はイマイチだったが

「ああいう人と結婚するのが、あなたが一番幸せになれる。」

「あなたが病室にいると、先生はうれしそうにしている。

あなたのことが好きに違いない。」

退院してからはもっと凄かった。

毎晩、1時間近く「あの先生と結婚しなさい。」という話が続けられた。

私の過去の恋愛のダメ出しがされ、私の見る目の無さをなじられた。

冷静に考えると、私も相当バカなんだがだんだんその気になってきていた。

軽く洗脳されていたのかもしれない。

そして、退院後の最後の診察の日。母に促されるまま

主治医にメルアド付きのメッセージカードを渡した。

 

翌日 主治医からメールが届いた。

詳しくは覚えていないが

「僕は既婚者なので…」という一文があったと思う。

 

母の言う通り、主治医はとても良い人だった。

ただし、既婚者だった。

 

入院から退院、そして複数回の診察。その間約3か月。

なぜ彼女の有無。もしくは既婚か未婚か確認しなかった??

 

母へ疑問をぶつけてみたところ、その答えがまた凄かった。

「だって、そんなこと聞いたら恥ずかしいじゃん」

 

「だって、恥ずかしいじゃん」

悪びれることなく、母は言った。

「残念だったね。」と。

 

恥ずかしいのは完全にこちらである。残念なのは母の頭である。

 

 

 

 

今、自分が母親になって思うのは母親は「こどものために」何かしているわけではない。

私がそうしたいからそうしているだけなのだ。

では、なぜ「あなたのために」を連呼するのか?

それは、自分を肯定したいだけだったのだと思う。

自分の人生や価値観、選択の数々を娘の人生に移植して、正解なのか見てみたいだけなのだ。

だから

「ほら、お母さんの言った通りでしょ」

「自分で決めたんだから、しっかりしなさい」

の間で悩んだりしなくていい。

「あなたのために」を連呼している連中は、本当は「自分のために」「自分を肯定するために」やっているだけだから。